自己の過剰評価は外敵よりも脅威だ

19 11月

 隣国の急激な経済成長や日本自身の長期停滞によってなのか、やたらと日本を賛美する報道や主張が目立つ。

 それが自虐史観からの脱却であるという主張もある。

 私にはそうした日本賛美の主張が、日本が抱える欠陥や将来の恐れから目をそらすための反射的な対応のように見えてならない。

 

 日本の隣国で、自らの国を批判し日本を賛美する記事がある。

 どこにでも自国を批判して他国を賛美する人はいるし、日本でも日本を批判しアメリカや北欧を賛美する人たちがいるから、その記事には心地よさ以外の内容は無い。

 また、他国の人々をインタビューして日本への賛美をする報道にもどんな意味があるのだろうか。

 世界中探せば賛美してくれる人はいるし、面と向かって理由もなく批判することはそうそうないからだ。

 賛美する人だけを集めたれば、たしかに日本は誰からも賞賛される理想の社会だろう。

 

 日本の中には世界シェアトップクラスの企業はある。

 それ自体は素晴らしいことだけれど、それはその企業が努力しているからであって、日本企業すべてがそうであるわけでもない。

 ガラパゴスと称されるように、日本独自の基準と慣行から変化できずに国際的競争力を失っている企業も多い。

 日本の企業を賞賛するだけの報道は、変化しなければならない危機感を喪失させるだけで、偽りの安住を与えるだけの内容だ。

 

 円安になればインフレになり日本経済が回復するというシナリオは、果たして正しいのか。

 円安・インフレになれば、60%を占める消費活動への悪影響は深刻だ。

 金融緩和によって株価は上がっているようだが、それは日銀と年金のお金を突っ込んでいるだけで日本国民の蓄えを損耗してるだけだ。

 (明日の生活費をギャンブルにつぎ込んでいるのと同じ構図で、ギャンブルに失敗した時は食事すらできなくなるだろう。)

 10月31日の日銀の追加緩和で、日経平均は10月30日で15658円から11月12日に17197円と9.8%の伸び、世界市場の基軸通貨であるドルで見ると、10月30日は142.33ドルで11月12日は147.22ドルで3.4%の伸びとなっている。

 しかし、[ニューヨーク 14日 ロイター]『バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが14日公表したリポートによると、12日までの1週間に日本の株式ファンドから世界全体で38億ドルが流出した。2010年5月以来の大幅な流出となった。』という報道があるように、資金が日本から流出している。

 資金が日本から引き上げられているのに日経平均があがっているのは、日銀と年金が資金を出しているからである。

 つまり、日本市場は投資家に見放されているが、そうは見えないように日銀と年金の資金をつぎ込み株高を演出しているということだ。

 

 日本経済に絶対の自信があってこのような火遊び(円安政策と年金の投入)をしているのか、それとも今さえよければ後はどうなっても良いと考えているのか分からない。

 ただ、日本経済への過剰な信頼に基づく一連の政策は、増税、年金受給額の削減、介護費用や医療費等の自己負担の増額という形で帰ってくる。

 自己を過剰評価していると、気づきたくないし認めたくない。

 その結果、破綻しようとも。

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