期待があまりにも大きすぎたために、評価されないオバマ大統領

10 11月

 皮肉でもなんでもなく、オバマ大統領は歴代大統領の中でも屈指の優れた実績を残す(した)大統領だと思う。

 

【経済・財政】

 サブプライム危機とリーマン・ショックによって、欧米の金融システムは危機的状態という最悪の状況からオバマ政権はスタートした。

 また、前任者の大型減税と軍事費の拡大などにより、財政も健全な状態であったとはいえなかった。

 そうした中で、GMを再建し雇用を確保したこと、グリーンニューディール政策は失敗に終わってもシェールガスなどの新しい成長分野が誕生しエネルギー輸出国へ転換したこと、労働人口の増加により継続的な発展の土台が築かれたことは成果といえる。

 金融政策も、前バーナンキ議長と元イエレン議長が市場と的確な対話をし、他国の迷惑を顧みない積極的な政策により金融システムの安定をもたらしている。

 100年に一度と言われる深刻な状況から、直近では雇用者数が毎月20万人増え、労働人口の増加に合わせて新規住宅着工数が伸びている状況に移行できたことは見事ということしか無い。

 しかし、リーマン・ショック前の景気と比較すれば景気の良いとは言えないという理由で、その経済手腕は不当に低く評価されている。

 次期大統領は、オバマ大統領の経済政策の成果の恩恵を得られるだろうが、オバマ大統領自身は任期中に経済政策の成果の恩恵を受けられそうにない。

 

【外交・安全保障】

 イラクからの撤退など世界の警察官の地位を返上しようとしたことは、世界情勢を不安定にしてむしろアメリカの安全を脅かしたと批判されている。

 前任者の心地よい気持ちにさせてくれる世界戦略と比較すれば、確かに弱腰で物足りないもだろう。

 しかし、陸上部隊の派遣に対するアメリカ国民の合意を得ることが難しい状況であるし、オバマ大統領を弱腰と批判している共和党にも代案は無い。

 また、同盟国への盗聴やグアンタナモ収容所を閉鎖できていないなど、アメリカの権益のみに焦点を絞った非民主的・非人道的な政策は、オバマ大統領への期待とは逆の政策であるからリベラル派から批判はされたとしても、(個人的には全く支持できないが)実務的・現実的な対応であり、アメリカ国民にとっては評価されるべきものだろう。

 支持率を上げるための一時的な高揚感や夢を国民に与えることよりも、アメリカ国民の損害を減らし、最小限のコストで最大の成果をあげることにだけに終始したことは、得難い指導者であると考えられる。

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