製造業の復活には、長期雇用を前提としない採用が必要では無いだろうか

17 10月

 世界市場の中で日本が優位な産業といえば、まず自動車があげられるが、造船もその一つだ。

 近年、中国と韓国の造船量が日本を上回っていたが、通常20年程度の使用できるタンカーが韓国・中国製では10年、下手をすると5~6年で使えなくなるなど、安かろう悪かろうの品質である。

 また、納期が恒常的に遅れるから、価格以前に需要が減っている。

 (そこに円安による価格のメリットがなくなったのだから、大打撃となっている。)

 高い造船技術を持っているのは日本とノルウェーのみでなのが現状だ。

 

 では、今後もこの造船技術を維持できるのかといえば、かなり苦しい状況だ。

 川崎汽船は中国人技術者によって支えられている現状で、技術が抜かれて追いつかれるのは時間の問題となっている。

 より深刻なことは、優秀な人材が造船会社を目指さなくなったことだ。

 大阪大学の船舶海洋工学などは、世界屈指の造船技術者を輩出していたが、今の卒業生はシステム開発等別の分野に行ってしまっており、造船会社は優秀な技術者を確保できないでいる。

 

 企業は、長期的なキャリア形成のために新卒を採用し、事業活動を継続していくという建前があったにも係わらず、景気の動向に右往左往して採用人数を増減してきた。

 自動的に昇格して退職時には十分な給与が保証するというインセンティブがあったからこそ、若いときに安く使われることへの我慢が可能だったのだが、リストラや所得が上がらない状況では、安く使われることは損でしか無い。

 年功序列の長期雇用という制度への信頼性が失われた状況において、その制度を前提とした雇用体系では、優秀な人材、野心ある人材を登用することは非常に困難といえる。

 自らが破壊した長期雇用への信頼に変わるインセンティブを示さなければならない。

 その分野の将来性への不安や所得等様々な事情があるのだろうが、その分野で学んだ者をその分野が吸収できていない状況が改善されない限りは、その分野に先はないだろう。

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