南シナ海の石油をめぐる中国とベトナムの抗争。中国は暴走しているのか。

12 5月

・歴史的に、中国とベトナムの間は平和で安定していたわけではない。

 ベトナムは、中国の支配下にあったが10世紀ころに独立し、フランスに支配されるまで中国からの侵略をはねのけていた。

 ホー・チ・ミンによるフランスからの独立後は、中国の後ろ盾のあるカンボジアとソ連の後ろ盾をえたベトナムの間で紛争が起こるなど、平和で安定した関係ではなかった。

 ただ、隣国で同じ共産圏ということから、ベトナム戦争の時に人民解放軍とホットラインが構築され、現在でも存在しているらしい。

 両国とも現在でも共産主義をとりながら、一時の融和と継続的な敵対を続けてきた歴史がある。

 

・アメリカがウクライナ問題でロシアとの関係に力を注ぎ、中国との両面作戦ができないことから、アメリカは強くは出ない。

 欧米諸国がウクライナ情勢に注目している中で、欧米諸国から地理的に離れた南シナ海は、欧米諸国の関心を引きづらい。

 アメリカとしては、ロシアと中国の両面で戦う力も意思も無く、どちらの紛争にも強い態度で介入するかは不明である。

 「日本とアメリカが連携して中国を封じ込める!」という論調があるが、アメリカが積極的にそのような態度に出ることは考えずらい。

 

・ASEAN諸国にとって、中国とアメリカはどちらも大切なため、中国包囲網などは形成されない。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)は、名前の通り東南アジアの地域機構であり、日本と中国は入っていない。

(入る場合はASEAN+3などの名称になる。)

 ASEAN諸国にとって華僑が富を支配することや経済大国としての貿易関係から、中国は重要なパートナーだ。

 アメリカも反共の盟主であったことや世界一の経済・軍事国家であるために、アメリカも重要なパートナーだ。

 どちらか一方を選ばなければならないわけではなく、ASEAN諸国としては、自国に関係がなければ波風を立てないでおきたいのが本音だろう。

 ただ、ASEANの殆どの国にとって今回の中国の南シナ海の侵攻は重要な領土問題であり、穏やかに中国の行為を見守るわけにもいかない。

 貿易に影響を与えない範囲で行動せざるを得ないのが実情で、ASEANが足並みをそろえて中国との貿易断絶などは無く、そこら辺の足元を中国に見透かされていることが問題だろう。

 

・党としての方針がさだまっていないのか、軍部をコントロールできていないのか。

 半年前には中国共産党のトップがベトナムに赴き両国の安定を主張したことと、今回の南シナ海への侵攻は整合しない。

 また、中国では今回の南シナ海の抗争は、あまり報道されていない。

(日本の尖閣諸島や韓国のフェリー沈没は一面に扱っても、南シナ海の抗争はほとんど取り上げられていない。)

 中国は、「自らは平和主義国家であり、日本とアメリカを除く全世界が中国を支持している」と自国民や他国に対して喧伝している。

 そのため、ベトナムとの武力抗争は、中国は平和主義国家だという宣伝と反するものであり、報道もちぐはぐだ。

 中国にとって、物量に任せて実効支配を拡充していくことは可能であるが、領土問題は時間の経過によって治まるものではなく、不必要な爆弾を抱えることになる。

 そのリスクを軽視しているのか、党や軍部の一部の上層部が自らの実績つくりの為に暴走したのか、分からない。

 

 中国が今後も武力によって実効支配を広げることを強行するのなら、それを押しとどめる術が無い。

 各国とも、軍事的な物量に大きな差があること、経済的な影響力は大きいこと、なにより核の圧力に抗するには大変な努力をようすることからだ。

 日本としてすべきことは、尖閣諸島などの離島防衛を強化する以外にないだろう。

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