音楽は残酷だ NHK交響楽団 ベートーベン交響曲第9

23 12月

 友人と、NHKの第九を聞きに行った。

 日本の年末のクラシックは、どこもかしこも第九ばかりになるのだが、「どうせなら一番有名で、大晦日に放送されるNHK交響楽団を東京にいる記念に」と思ったのが行った理由だった。

 

 正直、感動した。

 国立音楽大学の合唱はすばらしいの一言だし、バリトンのロバート・ボークの歌声は一人の人間の声量とは思えない響きだった。

 音楽なんて素人だしよくわかないけれど、国立音楽大学の合唱とロバート・ボークの歌声を聞いていると、知らずに涙を流していた。

 こんなにすばらしい音楽を直に聴けることだけでもすごいことで、それを低料金であるのだから本当に幸せだった。

 

 ただ、一人のソリストの歌声を聞いた瞬間に、現実に戻ってしまった。

 そのソリストは本来の出演者の代役として加わっているのだが、周り(ソリストは計4人)のソリストとの力量差は明らかであるし、合唱の歌声にも力強さで負けていた。

 これが、他の状況であったのならば十分な歌声として評価されるのかもしれないが、最高の楽団、最高のソリスト、最高の合唱の中では、力不足であることが明らかなのだ。

 NHK交響楽団の演奏で第九を歌うことは、これ以上無いチャンスであるのかもしれないが、力量差を日本中に知らしめることになる。

 その恐怖に打ち勝ちチャンスをつかもうとするその気概を評価されるべきかもしれないが、比較対象が悪すぎる。

 実力で評価されるプロの音楽の世界の残酷さを、見せつけられた。

 本物を競う世界は、厳しいからこそ感動を与えるのかもしれないが、残酷だ。

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