戦前の外交戦略から変わらない日本

31 5月

 日本を鎖国にすることが、貿易立国の日本に国益をもたらす外交なのだろうか?

 

 議員外交で海外に政治家が行くと、日本国内からは少なくない批判を浴びる。

 批判の一つは、アメリカに行けば、「属国のポチがご機嫌伺いに行く。」、中国に行けば、「良い思いをして弱みを握られ、日本を売り渡すようになる。」といった「他国に媚びへつらう売国奴」というものだ。

 もう一つが、実は最も深刻な問題で、「他国を刺激するだけの外交音痴」といったものだ。

 

 鳩山元首相がイラン・中国に訪問した際に強い批判を浴びたが、私は日本で批判の論調が盛り上がることに強い危惧を持った。

 イランは、核開発やホルムズ海峡の強制封鎖など、シリアと並び欧米がもっとも今注目している国だ。

 そのイランに軍事的に直接行動できるアメリカは、イランとの正式な外交ルートが無い。

 日本とイランは正式な外交ルートがあり、アメリカには無いカードを持っているといえる。

 多様なカードを持っていることは、その国の外交力であり、しかも同盟国にとっても貴重な存在になることだ。

 その日本がイランとのパイプを太くすることは、日本の国益にかなうことはあれど、損なうことは無い。

 中国は日本のみならずベトナム・フィリピンなどに領有権の争いを仕掛けている。

 経済力をつけていることに反比例し、この2~3年で急速に隣国との関係を悪化させており、日本も例外ではない。

 中国脅威論や差別意識に基づく中国嫌悪感があるからといって、これから強烈な競争と軋轢が不可避な国との交流を絶つことはできない。

 対立と緩和を繰り返しながら付き合っていくしかないのに、緩和の手段を持たないあくなき消耗戦の末は、自滅しか待っていない。

 

 日本は第二次世界大戦前中に、敵国の情報を途絶し、知らないこと、知ろうとしないことが愛国であると教育した。

 その結果の国民の無知が、軍部・政治の失敗を増長させた。

 日本の国益を考えるのなら、相手国を知ることが何より重要であるし、そのパイプは太くすることが重要である。

(鳩山元首相がパイプ役として適切かは別の問題)

 もちろん、弱みを握られに外国に赴く政治家がいるかもしれないが、そうした政治家は投票によって淘汰すべき問題だ。

 

 外交音痴が外国に行くのではなく、外国に行くことが利用されることと同義であるという認識が、外交音痴ではないだろうか。

 外に出なければ何も始まらない。

 可能性を全く信じない批判は、悲しい。

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One Reply to “戦前の外交戦略から変わらない日本”

  1. まとめtyaiました【戦前の外交戦略から変わらない日本】

     日本を鎖国にすることが、貿易立国の日本に国益をもたらす外交なのだろうか?  議員外交で海外に政治家が行くと、日本国内からは少なくない批判を浴びる。 批判の一つは、アメリカに行けば、「属国のポチがご機嫌伺いに行く。」、中国に行けば、「良い思いをして弱み…

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