21世紀政策研究所「グローバルJAPAN- 2050年 シミュレーションと総合戦略 -」

22 4月

 他力本願の提案に、どんな価値があるのだろう。

 

 経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所が2012年4月16日、「グローバルJAPAN- 2050年 シミュレーションと総合戦略 -」を公表し、いくつかの提言を述べている。

 100ページ以上にわたる資料を読んだ感想は、良くいえば冷静、悪く言えばやる気のない提言だというものだ。

 

 論点と提言1「女性と高齢者の労働参加、生涯を通した人材力強化を促進せよ」では、

・ 女性労働参加率を高めるため、同一キャリアでもライフサイクルに応じて労働時間が自由に選べるようにせよ

・ 非正規雇用の雇用安定補償と均衡処遇、無業者へのアクティベーション政策で貧困問題に対処せよ

・ 海外から高度人材を積極的に受け入れよ

・ 人材育成は会社(上司)の責任であり「現場」の経験を通じた訓練・能力開発を重視せよ

 とうたっている。

 労働環境について当たり障りのないことを述べているようだが、これは2050年に向けた総合戦略なのだ。

 つまり、「女性の労働・キャリア形成については現在の形を維持し、家事育児を女性に任せて男性に長時間労働を強いる男中心の労働環境から変化させない。そして、正規雇用と非正規雇用の枠組みを維持する。」と述べているのだ。

 労働環境を変化させないという前提の上で、女性が働きやすいように短時間正社員を活用することや、非正規雇用のキャリアアップが図れるように、政府・自治体は努力すべきだと提言している。

 提言の中では、若年者雇用や無就職者、キャリアアップ等を改善させなければならないと強く述べているが、根本的な部分に何も手を入れたくないと言われてしまうと、改善のしようは無い。

 

 経団連のシンクタンクの21世紀政策研究所の提言はどれも、「現在から自分たちは変化したくないけれども、世の中が変化して良くなって欲しい。」というものだ。

 果たしてこれは、提言と呼べるものなのだろうか?

 現実離れした提案は、夢想でしかないが、2020年に向けての提言ではなく2050年に向けての提言なのだ。

 あるべき姿を打ち出し改善する時間は十分にあるはずだ。

 

 この他力本願の提言こそ、日本の企業の病巣の根深さを表している。

 他人任せで自らの努力を放棄した提言を読んでいると、2050年になっても日本の企業は何も変わらず、そして、日本の沈降は止まらないと暗い気持ちになってしまった。

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