考査アンケート(実務補習所)

18 3月

 あるべき姿に達成しているかが基準であって、合格者数や相対評価や、なにより既存の合格者の自己満足を満たすことは、考慮する必要はない。

 

・5年前と今では、経済状況も受講生もまるでちがう。

・公認会計士と協会は、自らの方向性を全く見失っている。

・就職や体裁から試験制度を考えるのではなく、なぜ必要でどのように社会に応えるかという観点で試験制度を考える必要がある。

 

 公認会計士実務補習所の第8回考査を受けてきたが、今回アンケートが配布された。

 内容は、考査の難易度は適正か、問題の量は適正か、考査の問題と講義の内容は合っているかということであった。

・5年前と今では、経済状況も受講生もまるでちがう。

 経済状況が悪化したという以前に、公認会計士試験合格者の状況が、5年前と大きく異なっている。

 以前であれば、合格者はほぼすべて監査法人に就職し、考査の日(平日)は事務所勤務で勤務中に勉強して、前年度の問題とほぼ同じ問題が出題される考査を受けていた。

 現在は、監査法人に就職する合格者が少数派になり、考査の日(日曜日)に備えて、会社から帰った後に気力を奮い起こして勉強し、新しく作成された問題が出題される。

 合格者の働く環境も、勉強時間も、そして問題の難易度も、すべてが異なる。

 当たり前に必要な点数を以前の受講生ならとれていたかもしれないが、今は、勉強する時間を確保することが難しいことから、必要な点数をとることは当たり前ではなくなった。

(今回の考査でも、3割程度が、試験時間の半分過ぎに出て行った。

 努力不足や合格者の質が低下したから点数が悪いということでは決してない。

 

・公認会計士と協会は、自らの方向性を全く見失っている。

 今回考査についてのアンケートを実施したことは、受講生への配慮という前向きなものではなく、実務補習所(及び公認会計士と協会)が、環境の変化に対応できず、方向性を見失っている証左であるといえる。

 今までは、今までどおりのことをやっていれば努力し続ける立派な公認会計士の先生という体裁を保てていた。

 しかし現在では、就職難が新聞の紙面を賑わすように先生が先生でいられないほど環境が変化しているために、今までどおりのことをしていたのでは体裁を保つことができない。

 考査などの実務補習を難しくしているから大丈夫ですと主張できれば、それが一番わかりやすく体裁を保つことができるが、考査などについて時間をかけて対応できない状況においては、難しくすれば余計に制度崩壊を起こしてしまう。

 「公認会計士とは一体何者なのだろう?」という問いかけを、公認会計士制度が誕生してからはじめて真剣にかんがえているのかもしれない。

 

・就職や体裁から試験制度を考えるのではなく、なぜ必要でどのように社会に応えるかという観点で試験制度を考える必要がある。

 試験を難しくして価値を上げれば就職難が解消されるかといえば、決してそんなことはない。

 社会から価値のある資格だと評価されてはじめて、資格の保有が就職に有利に働くのだ。

 公認会計士という資格が、社会になぜ必要で、そのためにはどのような水準を満たす必要があるのかという、資格のあるべき姿を見いだせなければ、社会に対して働きかけることはできず、そして、価値を付与することもできない。

 就職から資格制度を考慮したとしても、資格の方向性を見出すことは決してできない。

 年配のある公認会計士の先生は、

「税理士になんやかやと言われないために、公認会計士試験を受けるためには、税理士試験の税法科目を合格することを条件にすればよい。私たち(すでに合格した公認会計士)は、年をとっているから試験を受けて合格することは大変だが、これからの公認会計士試験ではそうした方向も良いのではないか。」

 と言っていた。

 私はこれを聞いて非常に呆れてしまった。

 試験制度はあるべき水準に達した者に対して資格を付与するものであって、試験に合格する力が無い既存の合格者は、あるべき水準に達していないことから資格を保有していてはいけないはずだ。

 それなのに年配の公認会計士は、自分たちは試験をうけても合格しないけれど資格は維持し、新しい人は難しい試験にしようと言っているのだ。

 試験をむずかしくすればするほど既存の合格者の価値はあがると考えていること自体が、市場原理や公正性を無視した愚劣はものだ。

 

 国や企業に寄生するだけの資格ならば、国家資格とする必要は全くない。

 就職のための資格ならば、金融庁ではなくハローワークの管轄にするべきだ。

 資格のあるべき姿を見つけることは、資格の価値を社会に訴えかける術をもつことだ。

 あるべき姿とは一体どのようなものであるのかから資格を考えることが必要だ。

 アンケートを採りその術とすることは私は評価したい。

このエントリーを Google ブックマーク に追加
LinkedIn にシェア
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です