低額譲渡と法人税法22条2項(租税法判例百選53)

16 8月

概要

 Xは1株225円でX2に譲渡した(この当時本件株式に取引相場がなかった)。

 Y(税務署長)は、本件株式の譲渡は、時価よりも低廉な価格でなされたものであるとして、法人税法22条2項により時価との差額に相当する金額を益金として算入する更正処分を行い、Xはこの処分の取消を求め、審査請求を経て出訴した。

 

論点

 法人税法22条2項は「有償又は無償にによる資産の譲渡」に係る収益の額を、益金の額に算入すべき金額としているが、低額譲渡をどのように扱うか。

 

判例

 法人税法22条2項は、法人が資産を他に譲渡する場合には、その譲渡が代金の受け入れその他資産の増加を来すべき反対給付を伴わないものであっても、譲渡時における資産の適正な価額に相当する収益があると認識すべきものであることを明らかにしたものと解される。

 資産の低額譲渡は法人税法22条2項の有償譲渡に当たることはいうまでもないが、この場合にも当該資産には譲渡時における適正な価額に相当する経済的価値が認められるのであって、たまたま現実に収受した対価がそのうちの一部のみであるからといって適正な価額との差額部分の収益が認識され得ないものとすれば、無償譲渡の場合との間の公平性を欠くことになる。

 益金の額に算入すべき収益の額には、当該資産の譲渡の対価の額のほか、これと資産の譲渡時における適正な価額との差額も含まれると解するのが相当である。

 法人税法37条7項が、資産の低額譲渡の場合に、当該譲渡の対価の額と当該資産の譲渡時における価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額が寄附金の額に含まれるものとしていることとも対応するものである。

まとめ

 低額譲渡は、法人税法22条2項の有償の譲渡にあたる。

 益金の額は、資産の譲渡対価と適正な価額との差額の合計(つまり適正な価額)。

 差額部分の収益が認識されなければ無償譲渡の場合との公平性を欠くこと、および法人税法37条の寄附金との整合性をもつことの2つを論拠とする。

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