バトラー判決

6 6月

 バトラー判決の教訓。

 「規制は暴走する。」

 

 バトラー判決(1992年2月)とは、カナダの最高裁判所がマック・ドウォーキン主義を採用し、『わいせつ物規制を「モラル」を理由として行うことは表現の自由を侵害するものとして違憲としつつも、わいせつなポルノは平等権侵害となるのでそれからの保護としての規制は合憲である』としたものである。

 本判決は女性の権利を向上させることが目的であり、本判決を受けてカナダの法律は、マック・ドウォーキンが提唱する法律が運用された。

 

 その結果どうなったのか?

 

1:バトラー判決後、トロント警察は、ゲイとレズビアン向けの書店、グラッド、デイ書店の強制捜査を行い、レズビアンの性愛を取り扱った雑誌を没収。

 検閲が強化され、その主な対象は、フェミニスト、ゲイ、レズビアン、女性文学であった。

2:ドウォーキン自身が執筆した著作2点も差し押さえられた。

 ドウォーキンは女性憎悪的暴力反対や差別反対を社会に訴えるために書いたものであったはずだが、フェミニストが書いたものであったとしても例外としなかった。そのほかにも学術的なものであっても検閲の対象となり、没収された。

3:自己検閲の出現。

 内容が少しでも疑わしいものを販売しない(オックスフォード大学出版局は、カナダの哲学者リチャード・モアー『ゲイの思想』の出版を拒否した。)。校正刷原稿を政府に提出する出版社。文章や写真を塗りつぶすなど、表現の自由を制作サイド自らが狭めるようになった。

4:新たな規制法

 18歳未満の性行為を小説や芸術として描写する作品を作成、印刷、発行、流通、販売し、そして場合によっては所持することを禁止する法律が運用された。

 

 バトラー判決に基づき、女性の権利や利益を保護するためにポルノグラフィなどの規制を設けた結果、女性やフェミニストにとって価値のある多くの作品を弾圧し、女性の権利や利益を害せしめている。行政の持つ非効率性や不公正は周知の事実であり、表現の自由に関する取締りのみが適切と考えるほうが無理である。

 そして検閲は、『女性は本質的に被害者であり、無力な存在である』という固定概念を社会に定着させ、家父長制を唱える政治家たちの力を強めた。

 規制は新たな規制をもたらし、表現の自由の侵害という問題のみならず、思想の自由までをも脅かす結果となっている。

 

 ハイリッヒ・ハイネ(Heinrich Heine)、戯曲『アルマンゾル』1823年

 「本を焼く者は、ついには人間を焼くようになる」

このエントリーを Google ブックマーク に追加
LinkedIn にシェア
Pocket

One Reply to “バトラー判決”

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    わいせつなポルノがなんで、平等権を侵害するんですかねぇ?
    平等権は目に見えない定義の為、それがポルノにより侵害されたということを証明出来ない
    立証もせずに、わいせつなポルノが平等権を侵害したと言い張ってるだけでしょう

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です