設立費用の帰属(百選7)

9 8月

問題

会社設立当時にまだ弁済されていない場合の設立費用の債務の帰属

 

・判例:法定手続を経ることにより、当然成立後の会社に帰属し、発起人は負担しない。

・私見:法定手続を経たか否かを問わず、成立後の会社に帰属し発起人は負担しない。

 

判例(法定手続を経た場合、すべて成立後の会社に帰属)

 定款に記載があり、創立総会において承認された場合には、その費用は当然成立後の会社に帰属し、発起人が負担するものではない。

 

学説1

 法定手続を経たか否かを問わず、設立のための必要な行為から生じた権利義務は、会社の成立によってすべて会社に帰属し、超過額については、会社は発起人に求償できる。

学説2

 会社が成立しても発起人に帰属し、発起人は法定の手続を経た額の範囲内で会社に求償できるにすぎない。

学説3

 会社に引き継がれるが、発起人の免責を許すものではなく、両者は重畳的責任を認める。

 

判例に反対する学説の理由

 会社の成立後の会社に帰属する範囲が定款の記載と創立総会の承認という内部の事情によって定まるというのは、発起人と取引する相手方の地位を不安定にする。

 設立費用の総額が、定款に記載されかつ創立総会で承認された額を超えた場合、どの部分が会社に帰属することになるかの判断について困難を生ずる。

 

私見(学説1)

 学説2では、同一性説をとる意味がなくなってしまい、学説3では、会社と発起人の両者に責任を負わせることは、発起人の責任を過重ならしめることになる。

 よって、相手方の地位を安定させ取引の安全を確保するためには、学説1がもっとも適する。


設立費用

 会社の設立に必要な費用であり、いわゆる開業準備行為から生ずる費用を含まない。

 

設立費用を発起人が支出したとき

 会社の負担に帰すべき限度額において会社に求償できるが、その限度を超える額は発起人の負担となる。

 

同一性説

 発起人が設立中の会社の機関としてその権限の範囲内で設立中の会社のためにした行為から生ずる権利義務は実質的に設立中の会社に帰属する。会社の成立により何らかの移転行為を必要とすることなくそれらの権利義務は設立後の会社に帰属する。

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