取締役の報酬の変更(百選69)

9 8月

問題

同意をしていない取締役の報酬を変更することはできるか。

・判例:無効

・私見:無効

 

判例(無効説)

 株主総会が当該取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしても、その取締役が同意しない限りは、任期中の報酬請求権を失うものではない。

 取締役会により一任された代表取締役によって減額する旨の決定がなされたとしても無効であり、報酬を請求することは信義則に反しない。

 

私見

 判例では、無効とする理由を明らかにしていない。原告(同意していない取締役)は、(1)会社法339条2項の潜脱(2)無報酬をあげている。

 (1)会社法339条2項は、正当な事由なく解任された取締役は会社に対して損害賠償を請求できるとあり、取締役の報酬の変更は、この会社法339条2項の潜脱である。

 (2)仮に取締役の職務内容が変更され無報酬となったとしても、対外的には取締役として監視義務違反による第三者責任などを負うことを理由として、取締役の同意なく無報酬とすることはできないという見解がある。

 事前に職務内容に対応した報酬の一応の基準があった場合、取締役の同意なく報酬を減額できるという裁判例がある。事前の職務対応に応じた報酬を得ることの同意や基準があった場合には減額する可能性はあると考えられる。

 しかし、無報酬としても取締役の責任の免除になるわけではなく問題が大きい。よって、同意していない取締役の報酬の変更はできないと解すべきである。

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