第二峰:春香山 - 1

16 7月

第二峰:春香山 - 1

 SGUWVに入部して最初の山は、小樽市と札幌市の間にある春香山。

 春香山は、札幌からも近く、管理人が常駐する山荘(食事などは出ない)があり、日帰りも可能なことから、札幌近郊の登山者に親しまれた山である。

 4月下旬の春香山は、雪解けが始まりだした矢先の雪山だ。しょっぱなの登山が雪山登山となった。

 

 先輩の付き添ってもらって、最低限の服装と登山の装備を買い(他は部の備品を借りた)、土曜日に登山口に立った。

 メンバーは4回生3人、2回生2人、1回生4人の9人パーティー。初日(土曜日)に春香山山頂の下にある山荘に止まり、翌日に山頂に登り下山の計画だ。

 

 登山口から中腹までは林道を歩く。しかし、雪山なので、ずぼずぼとくるぶしまで雪に足を埋めながらの行軍となる。20kg弱のザック(荷物)を背負いながらの雪山歩きなどしたことなく、すぐに疲れて下をうつ向いたまま黙って歩き続ける。

 小休止をはさんで林道終点まで約2時間で到着。ここからは、道のない雪山(注1)を歩くことになる。

 今晩泊まる山荘まで、ここから2時間程度である。その行程で道に迷うことになった。

 

 1年生歓迎のための山であるが、それと同時に2・3年生の経験をつませるために、4年生のK先輩は一切行程に指示を出さなかった。

 一時間程度歩いた後の小休憩時、2年生とK先輩を除く4年生がなにやら深刻そうに話し合っている。

 2年生が突然、「沢とか見なかった?」と、聞いてきた。

 どうやら、現在位置を見失い、道に迷ったようだ。

 

 先輩たちは20-30分話し合うが、どうにも結論がでない。

 現在位置がわからない。

 山荘がどこにあるかわからない。

 登山の知識のない一年生は置き去り。(注2)

 

 一年生の初めての山で、こんな不安にさせる状況に置いておくことは、さすがにまずいと思ったのだろう。

 今回一切の指示を出さないはずであったK先輩が、現在位置を示し、山荘までの方角と行程を示し、その指示通りに30分も歩くと無事に山荘に着くことができた。

 

 初めての山で、あわや遭難。

 このことを理由に、部活を辞めるという選択肢は確かにあった。

 しかし、「他の一年生が辞めていないのに、自分だけ逃げてたまるか」という、妙な対抗意識を持ったことが、部活に残った最大の理由だったと今は思う。

 かえって、あっさりとした楽しい山だったら辞めていたのかもしれない。 


注1

 雪山でも通常は、登山道と同じコースを歩く。

 登山道を離れる場合として、雪山専用のコースを歩くことがある。笹薮が雪に埋もれることにより、いつもなら歩けないコースを歩くことができるためである。また、雪山であるため、登山道が歩行困難な場合や、雪崩を回避する場合である。 

注2

 『静岡から北海道にきてまだ、一ヶ月もたたず、しかも雪山なんて初めて登っているのに、雪山での対処のイロハも知らず、今現在自分は遭難しているのか!おれはここで死ぬのか?』と、絶望的な気持ちになったことは、今でもはっきりと覚えている。

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