違法性の概念 - 刑法

14 7月

 違法性とは、行為が法規範に反することをいう(客観的違法性)。

 これは、行為者の内心の状態を前提とすることなく、客観的に判断され、「責任のない違法」を認め、違法性と責任を区別する見解である。

 

 この客観的違法性に対して、主観的違法性は、命令としての法規範に従って行為しうる者の違法と解する見解である。

 責任能力を備えた者による故意・過失行為のみに違法性が肯定され、「責任のない違法」という観念は否定される。

 

 違法性の理解において、実質的根拠から理解することが重要である。

 この理解について、、結果無価値論と行為無価値論という大まかに言って二つの学説の対立がある。

 結果無価値論は、刑法の任務を法益保護と解し、法益侵害・危険の惹起が違法性の実質をなすとする見解をいう。

 行為無価値論は、刑法の任務を社会倫理の保護と解し、または法益保護と解しながら、行為に対する社会的非難を違法性の評価に加味すべきとする見解をいう。

 

 刑法は、社会倫理の維持を目的とし、国民が守るべき倫理を強制するものではなく、利益の保護に値する利益の保護を目的とし、法益を侵害し、又は法益の侵害の危険をもたらす行為を犯罪として禁止・処罰することを目的としている。

 個人の思想の自由を保護するためも国家による個人に対する倫理の強制は認めらない。

 結果として、利益を侵害しまたは侵害する恐れがある場合にのみ違法性が認められ、刑法の対象になると考えられる。

 これは逆の側面から言えば、国家による、国家の考える道徳・倫理観を国民に強制するための道具として刑法を用いてはならないということである。

 

 以上のことから、違法性とは、行為が法規範に反することをいい、社会倫理の保護を害することは刑法のいう違法性とは異なると解すべきである。

このエントリーを Google ブックマーク に追加
LinkedIn にシェア
Pocket