取締役の解任(百選54)

11 4月

問題

会社法339条2項の「正当な事由」の範囲

判例

・解任の訴え(会社法854条)の要件

  - 不正の行為

  - 法令定款に違反する重大な行為

・取締役に経営を行わせるにあたって障害となるべき状況が、客観的に生じた場合

 

学説

・取締役の経営上の失敗も「正当な事由」となる。

 

私見:判例を支持

 株主は、取締役の選任・解任をするときに、自己の意見を会社に大きく反映することができる(会社法339条1項)。しかし、制限なく取締役を解任できれば、取締役の地位は不安定となる。取締役の地位および経済的安定性を保護するために、会社法339条2項で、「正当な事由」なき解任をするときには、損害賠償請求を取締役に認めた。

 学説では経営の失敗も「正当な事由」としている。これは株主にとって解任は、経営に失敗した取締役への強力なサンクション(制裁)を与える手段と捉えているからである。

 しかし、なにが経営上の失敗であるかは、短期・長期では異なる場合もある。また、どこまでが経営上の失敗であるかの判断は、個々人の主観に負うところが大きい。

 経営上の失敗を「正当な事由」に含めることは法的安定性を損なうことになる。

また、経営の失敗を「正当な事由」に含め、株主の主観にすべてゆだねてしまえば、「正当な事由」を適用されることはほとんどなくなってしまう。この結果、会社法339条2項の(存在)意義は失われてしまう。

 

 以上の点から、「正当な事由」に経営上の失敗を含めるべきではない。法的安定性を確保し、会社法339条2項の意義から判例の見解を支持する。


取締役の解任の根拠条文(会社法339条各項)

会社法339条1項

 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。

会社法339条2項

 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求できる。

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